入れ歯を安定させるオーバーデンチャーとは
日本は超高齢化社会といわれ、入れ歯を使って生活している方も多くいらっしゃいます。しかし、使用者の8割超の方が、入れ歯を使用することに不便さを感じているとわかっています。
本コラムでは、入れ歯でありがちな悩みを解決するために「オーバーデンチャー」について解説します。現在入れ歯をお使いの方で不快な症状にお困りの方は、ぜひ参考にしてください。
オーバーデンチャーによって入れ歯が安定する仕組み
オーバーデンチャーとはインプラントと何らかの維持装置を用いて入れ歯を固定する術式です。オーバーデンチャーの固定方法は主に4種類あります。マグネットタイプやボールタイプ、バータイプ、固定式ブリッジタイプのなかから、患者さんの希望やライフスタイルに合ったものを選択するのが一般的です。
具体的な治療内容としては、2~4本のインプラントで入れ歯を固定し、入れ歯のグラつきを低減します。インプラント上部と入れ歯の内面を専用パーツにしますが、入れ歯本体は取り外しが可能です。オーバーデンチャーを希望する場合は、手術でインプラント体を顎の骨に埋入し、入れ歯を固定するためのアバットメントを取り付けます。その後、入れ歯に留め具を埋め込み、装着時にアバットメントと留め具を接合すれば、入れ歯が固定される仕組みです。
メリット・デメリットを把握したうえで前向きに検討しよう
オーバーデンチャーのメリットは以下の通りです。
- ・食事のときに安定した噛みやすさを感じる
- ・入れ歯と同じくらい口腔ケアがしやすい
- ・埋め込むインプラントの数が少なくて済む
- ・会話のときに発音しやすい
- ・入れ歯がそのまま使える可能性がある
- ・違和感が少ない
- ・顎の骨が少なくても適用できる症例がある
- ・固定式のインプラント治療よりも一般的にコストが低い
一方、デメリットには以下のようなものがあります。
- ・外科手術が必要
- ・治療期間が長い
- ・毎回取り外して清掃の必要がある
- ・保険適用外の治療となる
- ・骨量が足りないと適用できない
入れ歯を安定させる方法には「オールオン4」もあります。オーバーデンチャーはオールオン4と比較すると費用面も抑えられ、70~150万円程度で治療可能です。しかし、口腔内の状態やインプラント体の本数、固定方法によって費用が左右されるため、詳しい費用については歯科医師に相談してください。
オーバーデンチャーを含め、治療にはさまざまなメリットとデメリットがあります。治療内容や特徴を十分に把握したうえで前向きに検討しましょう。
- Q1:オーバーデンチャーの手術時間や痛みの程度はどのくらいですか?
- A1 インプラント手術にかかる時間は1~1時間半程度です。局所麻酔を行うため手術中は痛みを感じません。痛みに不安感のある方は、表面麻酔などで痛みを和らげられるもしくは点滴でほぼ眠った状態で治療を行う、静脈内鎮静法も適応可能ですので、医師に相談しましょう。
- Q2:術後の注意点はありますか?
- A2 オーバーデンチャーの手術後は、痛みや出血、歯茎の腫れが起こる可能性があります。血圧が高くなると症状が出やすいため、激しい運動や飲酒などを避けましょう。また、合併症を引き起こす可能性もあるため、気になる症状がみられたら医師に相談してください。