インプラントと寝たきりの関係について
インプラントのメリットは「自分の歯と同じように、噛むことができる」点にあります。この「噛む」という動作は、単純なようでいて、実は健康に直結している事象でもあるのです。例えば、虫歯や事故などで歯の多くを失った場合、食べ物を口の中で噛み砕くことができなくなります。つまり、細かく砕くことができないまま、食料を飲み込んでしまうことになります。そうなると、今度は胃に負担がかかってきて、消化不良を起こしたり充分な栄養を吸収できなくなったりと、身体に悪影響を及ぼしてきます。
それだけ「噛む」という行為は、身体にとって重要な役割を担っているのです。高齢になり寝たきりになった時にも、「噛む」行為は重要となります。寝たきりになる原因は、年齢によるものや不慮の事故によるものなどさまざまです。ただ、多くの場合で寝たきりは、年齢によるものが原因となっています。寝たきりになると介護が必要となってきますが、噛んで食事を取ることができるか否かで、認知症の進行に大きな差が出てきます。噛むことによって脳に刺激が伝わり、海馬に血液が正常に流れますが、噛めなくなると海馬への血流が少なくなってしまいます。その結果、海馬が委縮し機能が低下して認知症を発症してしまうのです。したがいまして、寝たきりになっても「噛む」ことさえできれば、認知症の予防につながり、認知症になりにくくなってきます。
そこで有効なのがインプラントです。しかし、高齢になってからのインプラントの治療は多くのリスクを伴うこともあります。そのため、老後のことを見据えた形で、元気な時にインプラント治療を選択することは素晴らしいことです。寝たきりになると、差し歯などの部分入れ歯や、総入れ歯はだんだんと自分で清掃することができず、誰かにケアしてもらう必要がでてくるため、清掃に困ってしまいます。また、痴呆状態になった場合、入れ歯を紛失してしまう事が多く、紛失しても新しい入れ歯を作るのは難しくなり、全く歯の無い状態で寝たきりになってしまいます。
そのため、食べ物がうまく食べられなくなり、認知症の進行も早まってしまうのです。自分の歯が残っている場合と同様、インプラントは固定式のため、口腔内の清掃は比較的簡単で済みます。寝たきりでもよく噛んで食事をすることができるので、認知症になりにくいメリットもあります。インプラントの定期的なメンテナンスを受けられるか、という部分は個人の健康さによって異なってきてしまいますが、とりあえず「噛む」という行為を続けるためには有効な手段といえるでしょう。さらに、元気な時にインプラントにしておけば、寝たきりになる確率も低下していきます。というのも、インプラントによりしっかり噛めること、咀嚼することで健康的な食生活を送れるため、元気な心と身体を維持できる確率が高くなってくるのです。もちろん、インプラントも100%完全なものでなく、「インプラント周囲炎」などのトラブルもあります。
ですのでインプラントについて不安や疑問など気になるところがありましたら、ぜひ当クリニックにご相談ください。生涯現役でいるためにも、しっかり噛んで、心も体も健康で過ごしましょう。